家計管理

パートの「年収の壁」はいくら?扶養の内と外で世帯の手取りを試算

更新日 2026.10.15 出典:国税庁・財務省・日本年金機構・厚生労働省

公開:2026年10月|最終更新:2026年10月

本文の数字は2026年10月時点の公表資料・公式ページと照合しています。

制度や料金は変わることがあるため、手続きの前に公式ページで最新の条件を確認してください。

2026年の主な壁は「130万円」と「178万円」です

2026年分(令和8年分)の所得税は、給与収入だけの人なら年収178万円まではかかりません。財務省『ファイナンス』2026年4月号の税制改正解説によると、基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、「所得税の負担開始水準」は178万円以上となっています。一方、夫の健康保険の扶養に入り続けられるのは、原則として年収130万円未満です(日本年金機構)。

手取りが実際に減る「段差」は、所得税ではなく社会保険で起きます。勤め先の社会保険に入らない働き方のまま130万円を超えると、国民年金と国民健康保険の保険料が新たにかかり、この記事の試算では手取りが年約28万円減ります。

2026年10月時点の壁を一覧にすると、6つあります

年収の壁は、それぞれ別の制度の基準です。誰に影響するか(本人か、夫か)も壁ごとに違います。

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壁何が変わるか影響する人根拠
週20時間従業員51人以上の勤め先なら、本人が勤め先の社会保険に加入本人厚生年金保険法等(賃金要件は撤廃)
約119万円本人に住民税がかかり始める(2026年の収入にかかる令和9年度分、東京23区で扶養親族なしの場合)本人地方税法・区の条例
130万円夫の健康保険の扶養から外れる本人被扶養者の認定基準
136万円夫の配偶者控除が配偶者特別控除に切り替わる(所得税の控除額は38万円のまま)夫所得税法
169万円夫の配偶者特別控除が38万円から減り始め、207万円超でゼロ夫所得税法
178万円本人に所得税がかかり始める(社会保険料控除がない場合)本人所得税法・租税特別措置法

<出典:国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」/2026年、日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」/2026年、東京都主税局「個人住民税」>

年収の数直線に並べると、本人に影響する壁と夫に影響する壁が分かれ、控除が段階的に減る区間も見えます。

2026年の年収の壁:本人に影響する壁と夫に影響する壁年収を縦の数直線にして、左に本人に影響する壁、右に夫に影響する壁を並べた図。年収と関係なく、週20時間以上(従業員51人以上の勤め先)なら本人が勤め先の社会保険に加入し、全国加重平均の最低賃金で働くと年収約122万円にあたる。本人:約119万円で住民税がかかり始める(東京23区・扶養親族なし)。130万円で夫の健康保険の扶養から外れ、勤め先の社会保険に入らない場合は国保・国民年金に移り、手取りが約28万円減る(後述の働き方B、この記事の試算)。178万円で所得税がかかり始める(社会保険料控除がない場合)。夫:136万円で配偶者控除が配偶者特別控除に切り替わる(控除額は38万円のまま)。169万円から配偶者特別控除が38万円から減り始め、178万円で31万円、200万円で6万円、207万円超でゼロになる。週20時間以上(従業員51人以上の勤め先)年収にかかわらず、本人が勤め先の社会保険に加入全国加重平均の最低賃金で働くと年収約122万円本人に影響夫に影響年収帯の幅=夫の控除額約119万円住民税がかかり始める東京23区・扶養親族なし130万円夫の健康保険の扶養から外れる勤め先の社会保険に入らない場合は国保・国民年金に移り、手取りが約28万円減る(後述の働き方B・試算)178万円所得税がかかり始める(社会保険料控除がない場合)136万円配偶者控除が配偶者特別控除に切り替わる(控除額は38万円のまま)169万円配偶者特別控除が38万円から減り始める(178万円で31万円、200万円で6万円)207万円超配偶者特別控除がゼロ

<出典:上の表と同じ資料、厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金の改定額」をもとに作成。手取りの減少額は、勤め先の社会保険に入らず国保・国民年金に移る場合(後述の働き方B)のこの記事の試算>

所得税の壁は2年で103万円から178万円になりました

所得税がかからない年収の上限は、給与収入だけの場合、2024年分までの103万円から、2025年分は160万円、2026年分と2027年分は178万円に上がっています。2026年分の内訳は、基礎控除104万円と給与所得控除74万円の合計です(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」)。

この引き上げは2026年12月1日に施行され、2026年分の所得税に適用されます。2026年1月から11月の毎月の源泉徴収は改正前のままで、12月の年末調整で精算する仕組みです。国税庁のQ&Aは次のように説明しています。

「令和8年 11 月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じません。」——国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(2026年5月)

扶養の所得要件も「123万円以下」から「136万円以下」に変わりました

配偶者控除の対象になる配偶者の所得要件は、2026年分から合計所得金額62万円以下(給与収入だけなら136万円以下)です。2025年分は58万円以下(123万円以下)でした。136万円を超えても、169万円までは配偶者特別控除として同じ38万円が夫の所得から差し引かれます(夫の合計所得金額が900万円以下の場合)。

「106万円の壁」は2026年10月に賃金要件がなくなりました

勤め先の社会保険に入る条件のうち、月額8.8万円(年収約106万円)以上という賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。日本年金機構の「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」(2026年10月1日更新)は、チラシ「2026年10月1日から短時間労働者に係る賃金要件の撤廃と最低賃金の減額特例の対象者に関する制度が始まります!」を掲載しています。同機構の加入条件の案内では、条件は「週の所定労働時間が20時間以上」「学生ではない」などで、賃金の条件はありません。従業員51人以上という企業規模の条件は残っており、2027年10月から36人以上に広がります(厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト)。

厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金の改定額」の全国加重平均1,177円で週20時間・52週働くと、年収は約122万円です。最低賃金の水準で働く場合、週20時間の線は年収120万円前後にあたります。

扶養の内と外で、本人の手取りを年収別に試算すると

働き方を2つに分けて、パートで働く本人の年間の手取りを試算しました。

ここでは、次の前提で試算します。

  • 本人:40歳未満、東京都大田区在住、給与収入のみ、賞与なし。年収122万円以上の行は週20時間以上働き雇用保険(一般の事業の労働者負担0.5%、厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率」)に加入、年収100万円・119万円の行は週20時間未満として雇用保険なし
  • 働き方A:従業員51人以上の勤め先で、勤め先の社会保険に加入(協会けんぽ東京支部の健康保険料率9.85%、子ども・子育て支援金率0.23%、厚生年金保険料率18.3%を労使折半、標準報酬月額で計算)
  • 働き方B:勤め先が社会保険の対象外(従業員50人以下)。130万円未満は夫の扶養、130万円以上は国民年金(月額17,920円)と大田区の国民健康保険料(令和8年度の料率)を本人が負担
  • 所得税は2026年分、住民税は同じ年収が続く前提で令和9年度分の控除額(給与所得控除の最低保障74万円)で計算

(単位:万円、本人の年間手取り)

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本人の年収働き方A 勤め先の社会保険働き方B 扶養→国保・国民年金Bで本人が払う年金・国保
100—100.00
119—119.00
125106.2123.40
129109.1127.00
130110.199.329.6
136116.1104.630.2
150126.5117.031.7
160134.2125.232.8
169141.0132.533.7
178147.9139.734.7
200164.5157.337.0

<出典:協会けんぽ「令和8年度 都道府県毎の保険料率」/2026年、日本年金機構「国民年金保険料」/2026年、大田区「国民健康保険料の計算方法」/2026年、国税庁「給与所得控除」/2026年をもとに試算>

この前提では、本人の所得税は年収200万円でもかかりません。社会保険料が所得から差し引かれるため、178万円を少し超えても課税される所得が残らないからです。働き方Aで年収100万円・119万円を「—」としているのは、最低賃金の水準では週20時間働くと年収が約122万円を超えるため、この年収帯は週20時間未満の働き方になりやすいからです。

働き方Bは130万円で手取りが約28万円減り、約162万円で元に戻ります

働き方Bでは、年収129万円の手取り約127.0万円が、130万円になると約99.3万円に下がります。国民年金の年21.5万円と国民健康保険料の約8.1万円が新たにかかるためです。この試算で129万円のときの手取りを取り戻すには、年収を約162万円まで増やす必要があります。

働き方Aは段差がなく、保険料の分だけ手取りが緩やかに増えます

働き方Aは、扶養から外れても新たな保険料が上乗せされる形にはならず、手取りは年収に沿って増えます。同じ年収で比べると働き方Bより手取りは少なくなりますが、本人の厚生年金と健康保険の給付が付きます。厚生労働省の特設サイトによると、加入のメリットは次のとおりです。

「厚生年金保険に加入すると、長生きや、病気・けが、亡くなった場合に、基礎年金に加えて厚生年金が上乗せされるため、生活を支える保障がより充実します。」——厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」(2026年)

同じサイトでは、業務外の病気やけがで休んだときの傷病手当金(給与の3分の2)、出産で休んだときの出産手当金も、健康保険の給付として説明されています。

夫の税金への影響は、この前提で年約2万円です

夫の側で変わるのは、配偶者控除と配偶者特別控除です。夫の年収500万円(40歳未満、協会けんぽ東京支部、賞与なし)で試算すると、2026年分の所得税は次のようになります。

(単位:万円)

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本人(妻)の年収夫の配偶者(特別)控除夫の所得税
169以下387.22
178317.58
20068.86
207超09.16

<出典:国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(改正後の配偶者特別控除額の表)/2026年をもとに試算>

控除が38万円からゼロになっても、この前提では夫の所得税の差は年約1.9万円です。夫の所得税率が5%の所得帯にあるためで、夫の年収が高く税率が高いほど差は大きくなります。住民税にも配偶者控除と配偶者特別控除(最大33万円)がありますが、この試算には含めていません。長野市の案内では、令和8年度課税の住民税の配偶者控除は配偶者の合計所得金額58万円以下が要件で、所得税とは基準が異なります。

年収を決める前に確認しておきたい注意点

壁の金額は、制度ごとに「何を年収に含めるか」「いつの収入で判定するか」が違います。確認する順番を決めておけば、思わぬ段差を避けられます。

  • 130万円は労働契約で判定されます。 2026年4月から、扶養の判定は労働条件通知書などに書かれた賃金から見込む年間収入で行われます。契約にない残業で一時的に超えた場合の扱いは保険者が判断するため、夫の勤め先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に確認できます。
  • 一時的に130万円を超えたときの手続きがあります。 厚生労働省の「年収の壁・支援強化パッケージ」では、人手不足による労働時間の延長などで一時的に130万円以上になった場合、事業主の証明を添付すれば原則として連続2回まで扶養を続けられます。
  • 住民税の基準は自治体ごとに違います。 約119万円は、東京23区の非課税基準(扶養親族がいない場合の合計所得金額45万円以下)に、令和9年度分からの住民税の給与所得控除の最低保障額74万円(東京都主税局「個人住民税」)を足した額です。74万円のうち5万円は令和9年度分・10年度分の2年間の時限措置です(名古屋市の税制改正の案内)。名古屋市も、2026年と2027年の給与収入が119万円以下(改正前110万円以下)なら令和9年度分・10年度分の住民税は課税されないと案内しています。ほかの市区町村では非課税の基準額が異なることがあるため、住んでいる市区町村の税務課の案内で確認できます。
  • 所得税の178万円は2026年分・2027年分の時限措置を含みます。 財務省の解説では、2028年分以後は物価に合わせて控除額を見直していく仕組みです。翌年以降の働き方を決める前に、国税庁の最新パンフレットで金額を確かめてください。
  • 配偶者手当は勤め先の規定です。 夫の勤め先に「配偶者の年収が◯万円以下」で支給される手当がある場合、その基準は税や社会保険とは別です。夫の勤め先の就業規則・給与規程で確認できます。

次にやること

  1. 本人の労働条件通知書で「週の所定労働時間」と「賃金」を確認し、勤め先の従業員数(51人以上か)を勤め先に聞いてください。働き方Aと働き方Bのどちらにあたるかが、これで決まります。
  2. 働き方Bにあたる場合は、年収130万円の前後で手取りがどう変わるかを、住んでいる市区町村の国民健康保険料の試算ページで計算しておきましょう。
  3. 年収と手取りの関係そのものを確認したい場合は「手取り30万円は年収いくら?」、世帯の手取りを生活費の表に落とし込む場合は「家計管理は何から始める?」で手順を整理しています。

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