「元本保証」をうたう暗号資産の勧誘はなぜ危ない?被害の数字と確認手順
公開:2026年10月|最終更新:2026年10月
本文の数字は2026年10月時点の公表資料・公式ページと照合しています。
制度や料金は変わることがあるため、手続きの前に公式ページで最新の条件を確認してください。
「元本保証」や「必ず儲かる」という勧誘は、金融庁が詐欺的商法の例に挙げています
金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」(2026年6月24日更新)は、入金や送金のあとに連絡が取れなくなる詐欺的商法の可能性が高い勧誘の例として、「上場確実ですので、必ず儲かります! 元本も保証します!」を挙げています。同じページには、暗号資産で運用すると「必ず儲かる」とうたう高利回りの投資話に勧誘され、払戻しができなくなった事例も載っています。
被害の規模も公表されています。警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年7月31日公表)によると、2026年1〜6月のSNS型投資詐欺は5,893件、被害額は797.9億円となっています。この記事では、暗号資産が使われた被害の数字、元本保証の勧誘が危ない理由、勧誘を受けたときに確かめる手順と相談先を順に整理します。
数字で見る:暗号資産で被害金を送らせる手口
警察庁の資料は、被害金をどう渡したか(被害金等交付形態)を手口ごとに集計しています。暗号資産に関わる部分を抜き出すと、次のとおりです。
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| 手口(2026年1〜6月) | 認知件数 | 被害額 | うち暗号資産送信型 | 実質的に暗号資産で渡った割合 |
|---|---|---|---|---|
| SNS型投資詐欺 | 5,893件 | 797.9億円 | 1,288件・128.4億円 | 件数の22.5%、被害額の16.5% |
| SNS型ロマンス詐欺 | 2,509件 | 246.6億円 | 1,118件・141.8億円 | 件数の45.4%、被害額の58.7% |
暫定値。「暗号資産送信型」は警察庁が被害金等交付形態の一つとして集計している区分です。「実質的に暗号資産で渡った割合」は、警察庁の資料で暗号資産送信型と、暗号資産交換業者の口座への振込(暗号資産振込)を合わせた割合です。
<出典:警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」/2026年7月31日公表>
SNS型投資詐欺の認知件数は、前年同期より3,020件増えています。警察庁は2026年からSNS型投資・ロマンス詐欺を特殊詐欺の一手口として位置付けており、それ以前の資料と比べるときは集計の区分が変わった点に注意が必要です。
消費生活相談の窓口にも、暗号資産の相談が届いています。国民生活センター「暗号資産(仮想通貨)」(2026年7月31日更新)によると、全国の消費生活センター等に寄せられた暗号資産に関する相談は、次のとおりです。
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| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2023年度 | 8,498件 |
| 2024年度 | 7,261件 |
| 2025年度 | 8,132件 |
2026年5月31日現在の集計。消費生活センター等からの経由相談は含まれません。2026年度は5月31日までで656件(前年同期827件)。
<出典:国民生活センター「暗号資産(仮想通貨)(各種相談の件数や傾向)」/2026年7月31日更新>
元本保証の勧誘が危ない3つの理由
1. 価格が下がりうる資産と「元本保証」は両立しにくい: 金融庁の暗号資産交換業者登録一覧は冒頭で「暗号資産の価格が急落し、損をする可能性があります。」と注意しています。値下がりする可能性がある資産で運用しながら、預けたお金を必ず全額返すと約束する説明は、この性質と食い違います。
2. 元本保証で出資金を集めることは、法律で制限されています: 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)第1条は、e-Gov法令検索の条文で「何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。」と定めています。「元本保証」を前面に出してお金を集める勧誘は、この規定に照らして疑わしいと判断する材料になります。
3. 無登録の業者は、金融庁の監督の外にあります: 金融庁 金融サービス利用者相談室は、登録のない業者について「金融庁や財務局による検査・監督の対象ではなく」、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)も利用できないため、利用者保護を図ることができないと説明しています。同じページは、マッチングアプリやSNSで知り合った相手に、登録のない業者との取引を勧められる被害が多発しているとも書いています。
公的機関の事例に共通する流れ
金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」の手口と、国民生活センターが掲載している最近の相談事例を並べると、多くが次の流れをたどっています。段階ごとに、その場で確かめられることを右の列にまとめました。
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| 段階 | 公的機関が挙げている例 | その場で確かめられること |
|---|---|---|
| 1. 接触 | SNSの投稿、著名人をかたる広告、マッチングアプリで知り合った相手 | 著名人本人や公的機関が、個別の投資を勧めているかを公式の発信で確かめる |
| 2. 誘導 | クローズドチャットへの招待、「講師」「アシスタント」による指南、AI診断をうたうサイト | 勧められた業者の社名と登録番号を、金融庁の登録一覧で検索する |
| 3. 小さな成功 | 最初は利益が出て、少額なら出金もできるように見せる | 画面に表示される利益は、相手が用意したサイトやアプリの数字であることがある |
| 4. 追加入金 | 高額の入金や、個人名義の口座への振込、暗号資産の送信を求める | 振込先の名義と、暗号資産の送り先が誰のものかを確かめる |
| 5. 出金の拒否 | まとまった額を引き出そうとすると断られる。税金や違約金の支払い、追加の入金を求められる | 出金のための追加の支払いを求められた時点で支払いを止め、相談窓口に連絡する |
<出典:金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」(2025年12月23日掲載、2026年3月5日更新)、国民生活センター「暗号資産(仮想通貨)」(2026年7月31日更新)の最近の事例をもとに作成>
国民生活センターの事例には、「マッチングアプリで知り合った女性から暗号資産の運用を勧められた。儲かったので引出を求めたら税金を請求された。」というものがあります。利益を引き出すための前払いを求められる流れは、上の表の5段階目にあたります。
勧誘を受けたときの確認手順
勧誘の言葉だけで本物かどうかを見分けるのは難しくても、相手の情報を公的な一覧と照合すれば判断の材料がそろいます。次の順に確かめると、送金する前に立ち止まる機会をつくれます。
- 社名と登録番号を聞いて、登録一覧と照合する: 暗号資産の売買を仲介する業者は、金融庁・財務局への登録が必要です。社名だけでなく、登録番号と電話番号まで一致するかを見ます。手順は「登録一覧の読み方」で説明しています。
- 振込先と送り先を確かめる: 金融庁は、証券口座を装ったアプリの手口として「入金に個人名義の口座を指定してくる」例を挙げています。振込先が個人名義の口座だったり、外部のアドレスへ暗号資産を送るよう指示されたりした場合は、送る前に相談窓口で状況を伝えます。
- 約束されている内容を書き出す: 相手が「元本保証」「必ず儲かる」などと説明した内容を、文字で残します。相談するときにそのまま伝えられ、金融庁が挙げる勧誘例と照らし合わせることもできます。
- 一人で決めずに、第三者に見せる: 家族や下の相談窓口に、やり取りの画面を見せてから判断します。
相談窓口
勧誘の内容や送金先に不安があるときに使える公的な窓口は、次の3つです。
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| 窓口 | 番号 | 受付 |
|---|---|---|
| 消費者ホットライン(消費者庁) | 188 | 身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内 |
| 金融庁 金融サービス利用者相談室「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」 | 0570-050588(IP電話は03-6206-6066) | 平日10時〜17時(ウェブは24時間受付) |
| 警察相談専用電話 | #9110 | 最寄りの警察署でも相談できる |
<出典:消費者庁「消費者ホットライン」、金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」(2026年6月24日更新)>
消費者庁「消費者ホットライン」は、188について「地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口をご案内します。」と説明しています。どこに相談すればよいか分からない段階でも、まず188にかければ窓口につながります。
次にやること
- 勧誘を受けている場合は、相手の社名・登録番号・電話番号を書き出し、金融庁の登録一覧と照合する
- 送金を求められたら、送る前に188か金融庁の相談ダイヤルに連絡し、やり取りの画面を見せて相談する
- 暗号資産そのものの仕組みやリスクを整理したい場合は「暗号資産は何から理解すればいい?」を読む
なお、正規の取引で利益が出た場合の税金の扱いは「暗号資産の利益にかかる税金はいくら?」で整理しています。
関連する質問
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- 暗号資産は何から理解すればいい?仕組み・法律・リスクを1枚の表で
- 暗号資産の利益にかかる税金はいくら?雑所得の計算を課税所得別に試算
- 「必ず儲かる」副業の勧誘はどこで見分ける?相談事例から読むサイン
この記事の作り方
- 数字は官公庁・業界団体などの公表資料から引用し、記事ごとに出典名と年を明記しています。
- 出典の最新版が出たら数字を確認し、更新日を書き換えます。
- 特定の商品の購入や投資をすすめる記事ではありません。