暗号資産の基礎

暗号資産の利益にかかる税金はいくら?雑所得の計算を課税所得別に試算

更新日 2026.10.15 出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(2025年12月最終改訂)ほか

公開:2026年10月|最終更新:2026年10月

本文の数字は2026年10月時点の公表資料・公式ページと照合しています。

制度や料金は変わることがあるため、手続きの前に公式ページで最新の条件を確認してください。

利益は原則「雑所得」で、給与と合算して税率が決まります

国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(2025(令和7)年12月最終改訂)によると、暗号資産取引で生じた利益は原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。雑所得は給与などと合計して税率を決める総合課税で、金融庁の広報誌「アクセスFSA」(2026年2月号)は、税率が最大55%(所得税と住民税の合算、復興特別所得税を除く)になると説明しています。

2026年分の利益も、この扱いで計算します。利益を20%の分離課税にする見直しは、令和8年度税制改正大綱で方針が示されていますが、適用はまだ始まっていません(後半で説明します)。この記事では、利益の計算方法、課税所得別の税額の試算、申告が必要になる線を順に整理します。

課税されるのは「円に換えたとき」だけではありません

国税庁のFAQは、暗号資産を円に換える売却のほか、暗号資産で商品を買った場合と、暗号資産同士を交換した場合も、それぞれ所得の計算が必要だとしています。いずれも「手放した暗号資産の価値」と「その暗号資産を手に入れた値段」の差が所得になります。

FAQの事例は、いずれも「4BTCを400万円で購入した」ところから始まります。1BTCあたりの取得価額は100万円です。

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取引FAQの事例所得金額
売却(1-1)0.2BTCを21万円で売却21万円 − 100万円×0.2BTC = 1万円
商品の購入(1-2)40.3万円の商品の支払いに0.3BTCを使用40.3万円 − 100万円×0.3BTC = 10.3万円
暗号資産同士の交換(1-3)1XRP=3万円のときに40XRPを1BTCで購入3万円×40XRP − 100万円×1BTC = 20万円

事例の取引金額はFAQ上の架空のものです。売買手数料は勘案されていません。

<出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」1-1〜1-3/2025年12月最終改訂>

3つ目の交換のように、円を一度も受け取っていなくても所得が生じる点は見落としやすいところです。取引のたびに、そのときの円換算の価格を記録しておくと、年末にまとめて計算するときの手間が減ります。

利益の計算:譲渡価額から取得価額と経費を引きます

暗号資産を何回かに分けて買った場合、手放した分の取得価額(譲渡原価)は平均単価で計算します。国税庁のFAQによると、平均単価の出し方には「総平均法」と「移動平均法」の2つがあり、初めて暗号資産を取得した年の確定申告期限(原則として翌年3月15日)までに「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を出して選びます。届出書を出さなかった場合は総平均法になります。

計算に必要な要素を、計算する順番に並べると次のとおりです。

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要素内容FAQの該当箇所
総収入金額売却額、商品の価額、交換で受け取った暗号資産の時価1-1〜1-3
譲渡原価総平均法か移動平均法で出した平均単価×手放した数量2-4、2-5
必要経費売却の際の手数料など。回線料やパソコン代は、取引に直接必要な部分を明確に区分できる場合に限る2-3
所得区分原則は雑所得。その年の暗号資産取引の収入金額が300万円を超える場合は、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得、なければ業務に係る雑所得2-2
損失雑所得の損失は、給与所得など他の所得と通算できない2-11

<出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」/2025年12月最終改訂>

損失の扱いについて、FAQは「雑所得の金額の計算上生じた損失については、給与所得など他の所得から差し引く(通算する)ことはできません。」と書いています。暗号資産で損が出ても、給与から天引きされた所得税は戻りません。

利益の計算には、交換業者から届く年間取引報告書と、国税庁が公開している「暗号資産の計算書」(総平均法用・移動平均法用)が使えます。計算書は国税庁タックスアンサー「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」のページからたどれます。

課税所得別の試算:利益30万円・100万円で税金はいくら増えるか

雑所得は給与と合算されるため、同じ利益でも、給与の課税所得がどの税率の区分にあるかで税額が変わります。国税庁 No.2260 所得税の税率(2026年4月1日現在法令等)の速算表と、総務省「個人住民税」の所得割の税率を使って試算します。

ここでは、次の前提で試算します。

  • 会社員で給与は1か所。暗号資産以外の副収入はない
  • 暗号資産の利益(雑所得)は年30万円、または年100万円
  • 利益を足しても、所得税の税率の区分が変わらない(区分の境目をまたぐ場合は、またいだ部分に上の税率がかかります)
  • 所得税:速算表の税率に、2026年分の復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加える
  • 住民税:所得割の税率10%(道府県民税4%、市町村民税6%)。翌年度に課税される

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給与の課税所得所得税率利益30万円で増える税額利益100万円で増える税額
195万円未満5%約4.5万円約15.1万円※
195万円以上330万円未満10%約6.1万円約20.2万円
330万円以上695万円未満20%約9.1万円約30.4万円
695万円以上900万円未満23%約10.0万円約33.5万円
900万円以上1,800万円未満33%約13.1万円約43.7万円

増える税額=利益×所得税率×1.021+利益×10%。この前提での試算値で、実際の税額は控除の状況などで変わります。※利益100万円を足しても5%の区分に収まるのは、給与の課税所得が95万円未満の場合です。95万円以上なら、195万円を超えた部分に10%がかかります。

<出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」(2026年4月1日現在法令等)、総務省「個人住民税」をもとに試算>

この前提では、課税所得が195万円以上330万円未満の人が30万円の利益を得ると、所得税と復興特別所得税で約3.1万円、翌年度の住民税で3万円、合わせて約6.1万円が増える計算です。自分の区分は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた額(1,000円未満は切り捨て)で確かめられます。試算の前提を先に示す書き方は、本サイトの「編集方針」に沿っています。

なお、国税庁 No.2260 によると、2027(令和9)年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、防衛特別所得税(所得税額の1%)が加わります。2027年分を試算するときは、この点を反映させる必要があります。

確定申告が必要になる線:給与所得者は「20万円」

国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人によると、給与を1か所から受けていてその全部が源泉徴収の対象になる人は、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要です。暗号資産の利益は、この「給与所得以外の所得」に入ります。判定に使うのは売却額ではなく、取得価額と経費を引いた後の所得金額です。

20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別です。たとえば神戸市「市県民税の申告」(2026年1月13日更新)は、「給与所得以外の所得が20万円以下で所得税の確定申告をする必要のない人も住民税(市県民税)の申告が必要です」と案内しています。申告の期間や方法は市区町村ごとに異なるため、1月1日時点で住んでいる市区町村のページで確認してください。

!この記事の計算が当てはまらないケース
  • その年の暗号資産取引の収入金額が300万円を超える場合(所得区分が事業所得または業務に係る雑所得になる。国税庁FAQ 2-2)
  • 暗号資産の証拠金取引・信用取引、マイニング・ステーキング・レンディングで暗号資産を受け取った場合(FAQに別の項目がある)
  • 給与が2か所以上ある人、給与以外に事業所得などがある人(申告の要否の判定が変わる)

分離課税20%への見直し:決まったこと・まだ決まっていないこと

財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025(令和7)年12月26日閣議決定)は、金融商品取引法等の改正を前提に、一定の暗号資産の譲渡による所得を他の所得と分離して課税する方針を示しました。大綱の原文は、税率を「20%(所得税15%、個人住民税5%)」としています。

表は横にスクロールできます →

項目大綱の内容
対象暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して、金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等(特定暗号資産)を譲渡等した場合
税率20%(所得税15%、個人住民税5%)
損失控除しきれない損失を翌年以後3年内に繰り越して控除できる(一定の要件の下で)
総合課税の譲渡所得の基因となる暗号資産譲渡所得の特別控除と、5年超保有で所得を2分の1にする措置を適用しない。損失は他の総合課税の所得と通算しない
適用開始金融商品取引法の改正法の施行の日が属する年の翌年1月1日以後の譲渡等

<出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」/2025年12月26日閣議決定>

前提になる「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」は、金融庁「国会提出法案等」によると2026(令和8)年7月15日に成立しました。暗号資産の規制を金融商品取引法へ移す部分は、法律の附則で「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行するとされており、この日付は2026年10月15日時点で金融庁の公表資料から確認できませんでした。

適用開始は施行日の「翌年1月1日」なので、たとえば施行日が2027年中であれば、分離課税の対象は2028年1月1日以後の譲渡等になります。少なくとも2026年分の利益は、これまでどおり雑所得として総合課税で申告します。

注意点と、避けるための確認

  • 交換や買い物の記録が残っていない: 円に換えていない取引でも所得が出ます。取引した日と、そのときの円換算額を取引のたびに控えておけば、年末の計算で取得価額が分からなくなる事態を防げます。
  • 複数の交換業者を使っている: 年間取引報告書は業者ごとに届きます。国税庁FAQ 2-8は、2つの交換業者から届いた報告書を使って所得金額を計算する例を載せています。すべての業者の報告書をそろえてから計算を始めると、計算漏れを防げます。
  • 評価方法を届け出ていない: 届出がなければ総平均法です。移動平均法を使いたい場合は、初めて取得した年の翌年3月15日までに届出書を出すか、変更承認申請の手続きを確認します。
  • 「税金を先に払えば出金できる」と言われた: 国民生活センターは、暗号資産の運用で利益が出たので引き出そうとしたら税金を請求された、という相談事例を載せています。暗号資産の利益にかかる所得税は、本人が確定申告で申告・納付するもので、出金の条件として相手に支払うものではありません。こうした請求を受けたときの確認手順と相談先は「暗号資産の勧誘詐欺」にまとめています。
  • 損失を給与と相殺できると思っていた: 雑所得の損失は通算できません。売却するタイミングを考える前に、この扱いを前提に計算しておくと想定違いを避けられます。

次にやること

  1. 手元の源泉徴収票で「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」を確認し、自分の課税所得がどの税率の区分にあるかを調べる
  2. 今年の暗号資産の取引を、交換業者の取引履歴で洗い出し、国税庁の「暗号資産の計算書」に入力して所得金額を出す
  3. 所得が20万円を超えるなら確定申告、20万円以下なら住んでいる市区町村の住民税申告のページを確認する。判断に迷う場合は、国税庁「税についての相談窓口」で確認する

暗号資産の全体像は「暗号資産は何から理解すればいい?」、取引する業者が登録済みかの確かめ方は「登録一覧の読み方」で整理しています。

この記事の作り方

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